21日に沖縄、その後は九州⇒本州⇒北海道と縦断した超大型の台風21号は本日23日の午後3時頃、北海道の東の海上で温帯低気圧に変わった様です。
台風21号による強風や大雨、浸水などの影響で、全国で5人の方がお亡くなりになり、1人が行方不明、196人が怪我をされたと『NHK NEWS WEB』ではまとめられています。
被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
地震、台風、大雨、強風、土砂災害、河川の氾濫・・・など、突然訪れる自然災害の恐ろしさに人間の無力さを感じます。
さて、ブログの書き出しを台風21号に関する記事から始めたのは、本日は古民家の ” 屋根 ” に着目する為です。
古民家の屋根と聞かれてイメージすると・・・。
でも、もっと身近な古民家の屋根はこんな感じだと思います。
本来、こういった古民家の瓦屋根は土葺きといって、土の上にのせているだけの構造になっています。
その為、台風の多い地域の古民家の屋根は強風などの影響で瓦が飛ばされるなどの被害に合うことが多く、風で飛ばされない様に
▶瓦屋根を葺き替える際には瓦を釘で止める。
▶瓦同士が噛み合って固定されズレや強風に強い防災瓦にする。
などして、葺き替えられています。
これで、ひと安心!!
と言いたいところですが、実は古民家の瓦はわざと落ちやすくなっているんです。
それは何故か!?地震に備えてなのです!!
「えっ!?」
土葺きだった古民家に住んでおり大きな地震を経験した熊本の人は、声を揃えて言うかもしれません。
だって、地震の際に沢山の瓦が落ち怖い思いをし、またそれによりテラスやカーポートなども破損、近隣にも迷惑を掛けてしまい、挙げ句の果てには雨漏り被害にあったという方も多いからです。
でも、瓦が落ちた事で家が守られた可能性があるんです。
小学生の頃に理科の授業で 〝振り子〟 の実験をしませんでしたか!?
重い瓦が地震の際に落下する事により、建物の重心が低くなり建物の揺れが小さくなるのです。
台風などの強風に備えて防災瓦を使うと地震の際に建物の頭が重いままとなり、地震の際に揺れやすくなってしまう…。
その結果、瓦が落下しないまま建物が倒壊。下の写真は、熊本地震で実際に倒壊したお宅です。
どうしたら良いのでしょうか!?
これから古民家を改装する際には屋根を軽量化(ガルバリウム鋼板屋根や板金瓦を採用)し、かつ強風にも備えられる屋根材の選定をしていく事が大切だと思います。
また、建物の頭を軽くするという考え方では、耐震診断や補強などをしていない建物に太陽光発電を乗せてしまう事(南側だけに設置)も実は建物を危険な状況にしている可能性があるので注意が必要ですね!
(一社)古民家再生協会熊本
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